SVHC規制拡大 における産業への課題
16 Jan, 2025
欧州連合のSVHC規制はその対象範囲を拡大し、多くのプラスチック用光安定剤が高懸念物質(SVHC)のリストに追加されました。これにより産業界は大きな課題に直面しています。エバーライトケミカルはトータルソリューションを提供し、企業が規制の変化に円滑に対応し、製品を基準に従う、アップグレードを実現することを支援します。
SVHC(高懸念物質)とは?
SVHC(Substances of Very High Concern、高懸念物質)は、欧州化学品庁(ECHA)がREACH規則に基づいて指定した物質です。これらの物質は以下の特性が含まれます:
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CMR物質:カテゴリー1およびカテゴリー2に該当する発がん性(Carcinogenic)、変異原性(Mutagenic)、および生殖毒性(Reprotoxic)を持つ物質
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PBT/vPvB物質:難分解性(Persistent)、生物蓄積性(Bioaccumulative)、および毒性(Toxic)を有する物質
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PMT/vPvM物質:難分解性(Persistent)および移動性(Mobile)を有する物質
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内分泌かく乱物質:人体のホルモンシステムに影響を与える可能性のある物質
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その他同等の危険物質:科学的に同様の危険性が証明された物質
欧州連合域内で高懸念物質によるリスクを管理するため、ECHAは毎年2回SVHCリストの更新評価を実施しています。この過程では厳密な科学的検証と公開諮問を経て、リスクのある化学物質が規制対象に追加されます。高懸念物質には「提案リスト」「候補リスト」「認可リスト」の3つのリストがあり、それぞれ以下のように定義されています:
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提案リスト:EU加盟国が懸念される物質をECHAに提案し、ECHAがこれらの物質を「提案リスト」に公開し、45日間専門家の意見を募集します。
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候補リスト:意見募集期間中にECHAが異議を受けない場合、45日後にその物質は高懸念物質の「候補リスト(Candidate list)」に追加されます。完成品に候補リストに含まれる物質の濃度が1%以上(1000ppm)含まれる場合、安全情報の提供が必要となります。濃度が1%未満の場合、申告は不要です。
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認可対象物質リスト:ECHAは候補リストに含まれる物質を2年ごとに審査し、より危険性の高い物質を「認可対象物質リスト(Authorization list)」に追加します。認可対象物質リストに含まれる物質は、ECHAの追加認可を受けない限り欧州での使用が禁止されます。
今の所6種類の光安定剤がSVHC候補リストおよび認可対象物質リストにリストアップ
欧州連合のECHAはSVHC(高懸念物質)の規制範囲を拡大し続けています。2024年6月時点でSVHCリストに登録された物質は241種類に達しました。その中でも、特に高分子材料に広く使用される紫外線吸収剤を含む光安定剤が注目されています。2024年末時点で以下の6種類の重要な光安定剤がそれぞれSVHC候補リストおよび認可対象物質リストに追加されています:
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候補リストへの新規追加:UV326およびUV329は2024年1月に候補リストに追加されました。これらはプラスチック産業で広く使用される光安定剤であり、業界に重大な影響を及ぼします。
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認可対象物質リストへの既存追加:UV328、UV320、UV350、UV327の4種類の光安定剤は、それぞれ2014年および2015年に候補リストに追加され、2020年頭には正式に認可対象物質リストに登録されました。同時に、サンセットデート(使用禁止期限)が公表されており、2023年11月27日以降、追加認可を受けない限り欧州での使用が禁止されています。
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UV328に対する規制強化:欧州連合はPOPs(残留性有機汚染物質)規制を強化する予定であり、UV328は2024年2月にPOPリストに追加されました。2025年初頭からは規制が正式に施行され、使用濃度は1ppmを超えてはならないとされています。
SVHC Issueがもたらす企業への影響
SVHCリストに登録されることによって、製造業者、輸入業者、および川下ユーザーに以下のような法的義務が課されます:
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法的義務:完成品の中にSVHC含有量が1%(重量比)を超える場合、企業は45日以内にサプライチェーンに通知しなければなりません。また、年間使用量が1トンを超える場合、欧州化学品庁(ECHA)に特別な通報が必要です。さらに2021年以降、SCIPデータベース申告義務が追加され、企業の遵法負担が増加しています。
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運営コスト:規制遵守のため、企業は物質含有量検査に多額の費用を投じる必要があり、製品設計の再検討、代替材料の開発や調達を行う必要があります。これらのプロセスは時間がかかり、製品再認証の追加費用が発生する場合があります。
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サプライチェーン管理:SVHC規制により、既存のサプライヤー構造を全面的に見直し、調整する必要が生じます。代替材料の供給が従来の材料よりも不安定な場合、在庫管理が複雑化し、製品の納期に影響を与える可能性があります。
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市場競争:SVHC規制は、企業の欧州市場への参入能力に直接影響を与えます。SVHC物質を含む製品は市場参入のハードルが高くなり、市場競争力を失う可能性があります。さらに、多くの有名ブランドはリスク管理の観点から、サプライヤーにSVHCを含まない物質への切り替えを要求する場合があり、規制への早期対応が特に重要となります。
エバーライトケミカルが提供するグリーンソリューション
多くの光安定剤がSVHCリストに追加されるという課題に直面し、エバーライトケミカルは25年以上にわたる高分子の劣化研究の開発経験を活かし、製品寿命の延長と環境有害物質の削減を核としたグリーンケミカルの開発に取り組んでいます。当社は、SVHCの切り替えソリューションを提供し、評価から実施までの全プロセスで技術サポートを行い、顧客の製品転換をスムーズに実現します。
全面的な技術サービス
エバーライトケミカルは、製品の相溶性を評価、配合の最適化の提案、そして実用的な応用経験の共有を提供します。また、専門的なラボ試験能力を活用し、製品の基本物性や耐候性などの重要なデータを提供することで、顧客が迅速に製品の検証を完了できるようサポートします。
既に規制対象となった光安定剤を使用している場合は、評価および切り替え計画をお早めに開始することをお勧めします。エバーライトケミカルの専門チームは、製品アップグレードを支援し、製品が市場要件を継続的に満たすことを確保します。これにより、GX(グリーントランスフォーメーション)の波の中で競争優位を維持することをサポートします。
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